コラム
2024.08.02
AIをイベントマーケティングにどう活用するか【海外事例】
- マーケティング
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近年、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった技術の進化により、仮想空間での自由度が飛躍的に向上しました。
仮想空間での体験が広がるにつれて、新たな価値が生まれ、生活者の購買活動にも影響を与えることでしょう。こうした変化の中にこそ、大きなビジネスチャンスを見いだすヒントがあります。
D2Cにおける旗艦店の出店など店舗体験がより重要視されているなか、仮想空間での店舗体験をどのように創造するかが大きなキーワードになっています。
買い物の新たな形として、仮想空間を活用した体験型バーチャルショッピングが海外を中心に広がりを見せており、日本でも実現を模索する動きが出てきました。
バーチャル店舗体験が加速化するかどうかは、その体験が真に生活者に求められる価値を持つのかにかかっています。
顧客価値の実現には、実際に実店舗を訪れたようなリアルな体験を創造すること、現実世界では不可能な今までにない体験を創造することの両側面があると考えられます。
今回は、海外事例の中から、体験型バーチャルストアを展開している企業を紹介しましょう。
まずは、バーチャルイベントという形で仮想空間での店舗体験を提供した事例をご紹介しましょう。
世界最大級のコスメショップSEPHORA社の「VIRTUAL SEPHORiA – House of Beauty」です。
(参考:SEPHORA Webサイト)
同社は、早くから商品情報やハウツー動画をオンラインで配信してきた企業です。
そのノウハウを生かして、30以上のブランドが参加する大規模なバーチャル美容イベントを2021年9月に開催しました。
実際に会場を歩いているかのようなリアルな感覚を味わえる3Dビューを導入した会場には「サンルーム」や「ホームシアター」「ファミリールーム」など、異なる目的を持ったユニークな5つの仮想ルームを配置しています。
参加者はそれらの仮想空間を自由に歩き回って、ブランドの創始者や人気美容家と会う、賞品獲得のチャンスがあるゲームに参加する、仮想フォトブースでセルフィーを撮るといったエキサイティングな体験ができます。
リアルでは実現できない、バーチャルだからこそ提供できるリッチなブランド体験を提供することで、美容イベントの復活を成功させた事例です。
次にご紹介するのは、バーチャルショップへの出店を容易にするプラットフォームの新興企業、Obsessです。クライアントには、Tommy Hilfiger、Ralph Lauren、Christian Dior、FENDIなど名だたるブランドが並びます。
(参考:Obsess Webサイト)
同社のプラットフォームは、独自のARとVR技術を駆使して、リアル店舗さながらの臨場感を演出し、新しい商品に出会う驚きや喜び、楽しさといった感情に訴えかける顧客体験を実現しています。
仮想空間に配置されたバーチャル店舗は、360°パノラマで見渡せるように設計されており、実際の店舗のように店内を自由に回遊しながら、思い思いにショッピングを楽しめます。
信頼性の高いエンタープライズグレードのプラットフォームを介して、すでに登録済みの情報からスピーディーな決済を行えます。
リアルのような回遊感とバーチャルだからこそ実現できる決済スピードを提供することで、実店舗を訪れたような体験と今までにない顧客体験を同時に叶えた好例といえます。
最後に紹介するのは、4,600万人のアクティブユーザーを抱えるゲームプラットフォーム、Robloxです。
Robloxでは、ゲームをプレイするだけでなく、独自のゲームを作成できます。自身の分身である3Dアバターを介して、現実世界と同じように他のプレイヤーと一緒に遊んだり、体験をシェアしたりして楽しめます。
現実世界のような感覚のコミュニケーションと、バーチャルだからこその気軽な情報発信・共有を同時に体験できるのがRobloxの強みです。仮想空間を活用し「リアルの代替となり得る体験×リアルを超越した体験」の両軸を実現しています。
最近では、NIKEやGUCCIといった知名度のあるファッションブランドとのコラボレーションでも注目されています。
アメリカのファッションブランドForever 21は、ユーザーがRoblox上でForever 21 の店舗を出店できるプラットフォーム「Forever 21 Shop City」を創設しました。
プレイヤーは、マップ内に店舗を設置することから始まり、家具の設置、BGMの選択、商品の売買、在庫の補充、従業員の雇用など、リアルな経営の世界を疑似体験できます。
消費者にとってより身近な存在となることで、感情的なつながりを育むことができるでしょう。
今回は、バーチャル店舗の導入事例をご紹介しました。
仮想空間での店舗体験が加速するかどうかは、顧客のニーズにかかっています。
その体験が真に生活者の課題を解決し、不満を満足に変えられれば、おのずと発展していくでしょう。
今後、経済活動やコミュニケーションの場が仮想空間に移行していくのなら、それと同時に体験の場も仮想空間に移っていくことは確かです。
生活者が求めている価値とは、リアルの代替となり得る体験を提供することと、リアルでは実現できないリアルを超越した体験を提供することのどちらなのか。もしくは両方なのか。この両側面を実現できる決定的な要素とは何なのかを検討する必要があります。
どのような形のバーチャル店舗体験が今後の生活になじんでいくのかに要注目です。