コラム
2023.06.27
ニューロサイエンスだけではない これからの体験設計に求められる視点【海外事例】
- 脳科学
- 脳波測定
- アイトラッキング
生成AIを始め、様々な場面で「AI(人工知能)」の活用が広がっています。
そのなかでも現在注目を集めているのが、AIを活用したマーケティングです。顧客体験の向上のためにAIをどのように活用することができるのか、海外の事例を見ながら考えていきましょう。
デジタルマーケティング、特に広告運用における最大の課題はターゲティングです。近年では、CRMやMAツールとAIを組み合わせて活用することで、より精緻なターゲティングを行うことが可能になってきています。例えばAIで顧客データを分析して購入見込の高い顧客を把握し、優先的にDMを送るなどの事例があります。
また、見込みのあるターゲット層に対しては、最適なサービスを提供しなければなりません。活用例は以下の4つに分類することができます。
ここで挙げたものは、一般的に活用されている事例のなかでもごく一部です。このように、デジタルマーケティングの分野においてAIが活用されている場面は多岐にわたっています。
では、リアルでのイベントマーケティングにおいて、AIはどのように活用されているのでしょうか。
ここでは、リアルのマーケティングにおいてAIが活用された海外の事例をご紹介します。
まず、AIを用いたインタラクティブなイベント演出を実現した事例が挙げられます。
紹介するのは、コカ・コーラが開催したイベントです。
コカ・コーラは、新製品である「Coke Spiced」を発表するための開催イベントにて、「AIテイスティングステーション」というコーナーを設置しました。このコーナーでは、Coke Spicedを試飲した来場者が、製品に関するイメージなどの一連の質問に回答します。すると、回答結果をもとにAIが生成したファアニメーションがスクリーン上に流れ、ファンシーな空間を演出。
このイベントには2日間で4,000人以上が来場しました。
また、スーツケースブランドのAwayも同様に、生成AIを使ったイベントを実施しました。
来場者が回答した理想の旅先についてのアンケート結果をもとに、AIが現実とファンタジーを融合させた理想の旅先を生成。そのデータからポストカードを作成して配布しました。このイベントには2,000人以上が来場しました。
そのほかに、AIをイベントのオペレーションに活用した事例もあります。
プロのアメリカンフットボールリーグ「NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)」では、AIチャットボットを活用したチケット販売を開始。AIでの画像認識システムを導入してセキュリティを確保しつつ、チケット売り場の人員削減とチケットの売上増大に成功しています。ユーザーは気軽に質問や提案をすることが可能になり、収集した膨大なデータを分析することで改善すべき課題も見えてくるようになりました。
Webサイト:https://satisfilabs.com/case-studies/houston-astros/
本記事では、リアルのイベントマーケティングにおける海外でのAI活用事例をご紹介しました。これらの事例から、人員削減や充実したコンテンツ提供のためにAIが活用されていることが分かります。
しかし、リアルでのマーケティングにおいてAIが活用されている事例は、まだ少ないのが現状です。デジタルマーケティングのように、データを分析しターゲティングを最適化していくというAI活用方法は、業界全体で模索している段階にあると言ってよいでしょう。とはいえ、AIを用いたマーケティングの事例は、今後増えていくと考えられます。
たとえば、イギリス・ロンドンのコンサートプロモーター会社「Go To beat」は今後AIを活用してデータを分析することでチケットが完売するコンサートを制作していくことを発表しています。今後の動向に是非注目したいものです。
Go To beat社Webサイト:https://www.gotobeat.com/
今後はリアルのマーケティングにおいても、AIの活用が盛んになり、デジタルマーケティングでのAI活用と同様に、AIでデータを分析し、ターゲティングを最適化する事例が増えるのではないでしょうか。